買取価格も下がり、再エネ賦課金がますます増えてくる中で、太陽光発電の役割は終わったのではと思われる方も多いようです。
しかし、平成27年4月に行われた「資源エネルギー庁 総合資源エネルギー調査会 長期エネルギー需給見通し小委員会(第8回会合)」で配布された関連資料には下記のような事が記されています。
再生可能エネルギーの最大限の導入を実施する方針です。2030年には、2010年の第3次エネルギー基本計画の際に示した水準5,300万kWを大きく上回る6,400万kWの導入が見込まれています。
再エネは全発電電力量の22~24%にあたる2,366~2,515億kWhが見込まれ、うち太陽光は749億kWhで全体の7%にあたります。
平成27年3月末時点で設置されている太陽光発電設備は2,100万kWで、2030年度に見込まれている設備料の32%となっています。今後15年間で現在稼働している太陽光発電所の約2倍の建設が必要です。
概ね4年間で2,100万kW→今後15年間で4,300万kWのペースで設置が必要
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太陽光バブルと言われた4年間では1年で525万kW→今後は1年で286万kWとなりますが、それでも現状の54.6%程度のスピードでの設置が求められます。
再エネの内、風力発電は原子力発電に変わる電力源として、太陽光発電は火力発電に変わる電力源として期待されています。
特に火力発電の石油火力は¥30.6~¥43.4/kWhと非常に高額であり、現在の太陽光発電の¥24.3/kWh(メガソーラー)と比較しても割高となっています。
2030年の試算では、太陽光発電の発電コストは¥12.7~¥15.5/kWhとなっており、安いと言われている原子力発電にも近くなる見込みです。
長期エネルギー需給見通し骨子案
再生可能エネルギーの最大限の導入
○
エネルギー自給率の向上に寄与し、環境適合性に優れる再エネは、各電源の個性に応じて最大限導入し、既存電源の置き換えを進めていく。地熱・水力・バイオマスは原子力を代替し、風力・太陽光は火力を代替する。
○
2030年の電力コスト(燃料費+FIT買取費用+系統安定化費用)を、現状の9.7兆円(2013年)よりも5%程度引き下げるためには9.2兆円程度へ引き下げることが必要。また、ここから3%程度電力コストの引き下げ幅を縮小し、現状よりも2%程度引き下げるためには、9.5兆円程度へ引き下げることが必要。
○
再エネの導入量については、省エネの推進、原発の再稼働により、電力コストを低減させた上で、まずは地熱・水力・バイオマスを物理的限界まで導入することで原子力を代替し、その後、電力コストが9.5兆円に達するまで自然変動再エネを可能な限り拡大することにより決定する。
既存電源の置き換え
風力・太陽光 (自然変動再エネ)
●
自然条件によって出力が大きく変動し、調整電源としての火力を伴うため、原子力ではなく火力を置き換える。国民負担の抑制とのバランスを踏まえつつ、コスト負担が許容な範囲で最大限導入。
<電力コストの推移 (イメージ)>
再生可能エネルギーの導入により「安心・安全」とともに、原子力・火力による電力量を確保しつつ、電力調達コストも削減が可能になります。
(注)
再エネの導入に伴って生じるコストは買取費用を計上している。これは、回避可能費用も含んでいるが、その分、燃料費は小さくなっている。
【出所】
発電用燃料費は総合エネエルギー統計における発電用燃料投入量(自家発を含む)と、貿易統計における燃料輸入価格から推計
出典:長期ルギー需給見通し 骨子(案)関連資料(平成27年4月 資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/008/pdf/008_08.pdfより加工して作成
2030年における再生可能エネルギーの導入見込量
○
2030年の電力コストを現状よりも引き下げるために国民負担の抑制とのバランスがとれる範囲での導入を進めるには、再エネ全体で買取費用を約3.7兆円~約4.0兆円とすることが必要。原子力を代替する地熱・水力・バイオマスの買取費用の合計は約1.0兆円~約1.3兆円となることから、火力を代替する自然変動再エネの買取費用は約2.7兆円以下となる。
※2030年の各数値はいずれも概数。
(注)
加えて系統安定化費用として、火力の発電効率悪化に伴う費用、 火力の停止及び起動回数の増加に伴う費用が計0.13兆円。
2030年における太陽光発電の導入見込量
○
約0.5兆円のうち、買取費用の安い風力発電に0.4兆円が配分される。残りの約0.1兆円については、導入コストが将来的に低減する太陽光発電の導入が進むと見込んだ。
○
以上より、2030年には、約6,400万kWが導入されると見込む。
(→2010年の第三次エネルギー基本計画の際に示した水準(5,300万kW)を更に上回る導入が可能となる。)
(注)
なお、一部の地域においては、接続地域近辺の系統の空容量不足(ローカル系統制約)により大規模な太陽光発電について系統制約が発生していることからローカル系統制約によって導入が進まない点や、指定電気事業者制度の下での導入状況も考慮する必要がある。
【2030年における太陽光発電の導入見込量】
15年間で4,300万kWの設備が必要。現在のペースの54.6%の早さで達成
【電力需要・電源構成】
出典:長期ルギー需給見通し 骨子(案)関連資料(平成27年4月 資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/008/pdf/008_08.pdfより加工して作成