四国電力の抑制について → 出力制御見通し(四国電力)
太陽光発電の固定価格買取制度を維持するために、電力会社では電力の受給バランスを取る必要があります。
太陽光発電の場合、天候により大幅に発電量が変化するため、受給バランスは非常に重要になります。
電力会社により、需要が大きく違い、電力系統設備にも差があります。
従いまして、電力会社によっては自然再生エネルギーの固定価格買取制度を維持するために、電力を買わない「無償抑制(以下「抑制」と言います)を行うことがあります。この「抑制」は最近に始まったことではありません。
電力会社による、現状の「抑制」の考え方は「Ⅱ.新制度概要について(新規に取得する\27案件と、設備認定・電力申込済案件の取扱)」で記載した下記の表の通りです。
接続申し込み時に適用される出力制御ルール
ただし、「無償抑制」は、表にあるように
1.
新省令の「360時間」ルール対象案件でも、必ずしも360時間の抑制があるという事ではありません。
2.
従来から「30日ルール」というものも存在していますが、「360時間」ルールと極端な不公平が起こらないように配慮されています。
3.
実際に360時間ルールがまるまる適用されたとしても、四国電力の場合、「抑制」により予測される発電量から最大で15.7%売電量が減ると考えて良いと思われます。
※15.7%は四国電力が提示したもので、このまま決定されるという事ではありません。
下記は
平成27年3月4日に四国電力株式会社から発表された資料に説明を加えたものです。
本資料は暫定版であり、今後のワーキング・グループでの議論を踏まえて変更の可能性がありますが、概ねこの内容で「出力制御(抑制)」が行われるものと考えています。
1.はじめに
○
当社は、省令に基づく出力制御ルール(無補償期間30日)における当社および淡路島南部の太陽光発電設備の接続可能量について、219万kWと算定いたしました。(H26.12.16 第3回 系統WGへ報告)
○
H27.1.26施行の改正省令では、再エネの更なる導入拡大策として、
①太陽光・風力の出力制御の対象を500kW未満の設備にも拡大
②無補償での出力制御を日単位の積算(旧ルール:30日)から時間単位の積算に移行
(新ルール:太陽光360時間、 風力720時間)
が導入されたことから、これを反映して算定した結果、接続可能量は38万kW増加し、257万kWとなりました。当社は、省令に基づく出力制御ルール(無補償期間30日)における当社および淡路島南部の太陽光発電設備の接続可能量について、219万kWと算定いたしました。(H26.12.16 第3回 系統WGへ報告)
○
改正省令に基づく接続可能量257万kWを超過した場合は、指定電気事業者制度の下での受付(指定ルール:無補償の出力制御の制限なし)が可能となる一方で、指定電気事業者に対しては、出力制御の見通しについて公表することが義務付けられていることから、前回(第4回)の系統WG(H27.2.17)でご議論された考え方を踏まえ、出力制御の見通しを算定いたしました。
2.四国電力における太陽光発電設備の申込み状況
○
平成27年6月末時点の接続済みと契約申込み済みの設備量(注1)の合計は249万kWとなっている。
注
上記数値には、当社供給エリアに加え、淡路島南部エリア分を含んでおります。
6月末の値は接続済みと契約申込み済みの設備量の合計です。
※
契約申込み済みの設備量について、平成27年1月26日以降に契約申込みされた案件は、「系統連系に係る意思表明書」を受領したものを対象としております。
申込みが257万kWを超えた時点で、指定電気事業者制度の下での受付(指定ルール:無補償の出力制御の制限なし)となります。「電力への申込み」が基準です。
平成27年6月30日時点で249万kWの申込みとなっています。
3.出力制御の発生状況
○
太陽光発電設備が接続可能量257万kWまで接続された場合は、以下のような余剰が発生するため、連系線および揚水動力を活用したうえで、再エネ出力を抑制することにより対応する。
4-1.公平な出力制御の方法について
・公平な出力制御を行うべく、各ルールの事業者を以下のようにグループ分けし、出力制御を行う。
※
風力についても、太陽光と同じく、旧ルール・新ルール毎にグループ分けし、太陽光と合わせてグループ制御を実施する。
4-2.グループ制御の考え方(ケース1)
<旧ルール・新ルール事業者の出力制御が30日および360時間に到達するまで>
(ケース1)
○
旧ルール事業者(A~D)、新ルール事業者(E)、指定ルール事業者(F)間の公平性の観点から、各事業者を区別せず、順番に制御する。
・住宅用(Z)は基本的には制御しない。
[グループ制御のイメージ(ケース1) ]
(注)
実運用においては、天候や需給状況により、必ずしも公平な抑制にならない場合がある。
また、抑制のグループを分けて、順番に抑制をかける事で公平性を保ちます。
実際には、360時間ルールの場合、発電量が多い昼間に抑制が発生すると考えられるので、30日ルール適用案件より不利になると思われます。
それを出来るだけ調整するために、次項「4-3」の通り、30日ルールでは「みなし日数」の考え方をします。
4-3.みなし日数について(1)
○
旧ルールと新ルールの公平性に配慮した制御の考え方・住宅用(Z)は基本的には制御しない。
・
旧ルール(日数管理30日)と新ルール(時間管理360時間)において、それぞれの上限に達する日数(時間)の比率が同等となるような制御を行った場合、昼間の太陽光発電がピークとなる時間帯に制御する機会が多い新ルールは、抑制エネルギーが旧ルールより多くなる可能性があるため、「みなし日数」を用いる。
POINT
旧ルールとは30日間の抑制ルールです。1日1時間でも1日として従来は考えていましたが、
12時間抑制(6時~18時)の場合は×30日間=30日間抑制と見なす
6時間抑制(9時~15時)の場合は×48日間=30日間抑制と見なす
上記のように360時間ルールと公平性を欠かないようにしています。
360時間ルール対象の太陽光発電設備だけが抑制を受けるという事ではありません。
4-4.みなし日数について(2)
○
新ルールでの10日の抑制は、「みなし日数」を考慮すると、
・12時間抑制を10日行う場合は、(実抑制)120時間 ⇒ (みなし抑制)10日間
・ 6時間抑制を10日行う場合は、(実抑制) 60時間 ⇒ (みなし抑制) 8日間となる。※
・
「みなし日数」により可能な範囲で各ルール間の抑制エネルギーの公平性に配慮する。
※
当面は、予測誤差などを考慮し、「12時間抑制」と「6時間抑制」の2パターンとするが、予測精度や制御技術の向上に関する動向などを見ながら、より合理的な運用について今後検討する。
4-5.みなし日数による運用
(注)
みなし日数は、余剰発生の機会が少ない(旧ルールが30日に達しない)場合であり、旧ルールが30日となる場合は、新ルールはみなし日数ではなく、360時間まで最大限活用する。
4-6.グループ制御の考え方(ケース2)
<旧ルール・新ルール事業者の出力制御が30日および360時間に到達した以降>
(ケース2)
○
旧ルール・新ルール事業者の出力制御については、指定ルール事業者の制御が過剰とならないよう、旧ルール事業者は30日、新ルール事業者は360時間を最大限活用する。
・
年間計画段階では、需要や出水傾向等を踏まえ、旧ルール・新ルール事業者の出力制御日数・時間が不足しないよう、効果的に配置する。
・
運用段階においては、実績を見ながら、年度途中において、指定ルール(F)の制御が360時間よりも少なくなるようであれば、旧ルール(A~D)および新ルール(E)の制御を減らし、指定ルール(F)の制御を増やすなどの調整により、公平を図る。
・
計画的に制御を実施していく中で、制御量が不足する場合は、住宅用(Z)も制御する。
[グループ制御のイメージ(ケース2)]
(注)
実運用においては、天候や需給状況により、必ずしも公平な抑制にならない場合がある。
5-1.出力制御見通しの算定における前提条件
○
算定にあたっての前提条件は、昨年12月の接続可能量を算定した際と同じ。
伊方原発の発電量(四国電力ホームページより)
ポイントは原子力で、既設設備(伊方原発1~3号機)が震災前に稼働していた頃を計算に入れている部分です。
3号機稼働の見通しがつきましたが、1~3号機まで全てが稼働するには、かなり時間が要すると考えます。
伊方原発の定格出力は1号機・2号機がそれぞれ56.6百万kW、3号機が89百万kW。合計202.2百万kW
フル稼働の場合、ベース電源のほぼ100%を原子力発電で確保できますが、現在のところ3号機全てが定期点検中で稼働してません。3基ある原子力発電所が全て稼働して、計算通りの抑制が始まると考えます。
5-2.出力制御見通しの算定の方法
○
年間8760hに対して需要と供給力の関係から余剰発生量を計算し、前項までで示した制御方法を適用した場合の抑制量(日または時間)を算定する。
年間余剰発生状況(2013年度実績ベース)
6-1.出力制御見通しの算定結果(実績ベース方式)
○
指定電気事業者制度下の追加設備として、新省令における接続可能量257万kWに対し、30万kW刻みで+90万kWまで増加させて算定した結果は以下のとおり。年度毎に、需要や天候によって抑制時間は大きく変動する。
※1
昼間最低需要は、GWを除く5月晴天日における太陽光発電ピーク時間(12時)の需要実績
※2
抑制対象設備の抑制電力量・発電可能電力量を記載
電力使用量が2011-2013年の実績ベース方式を採用する場合
30日ルールもしくは360時間ルール適用の発電事業者は15.7%発電量が抑制される
257万kWに達した以降に申込みをした発電事業者は無条件抑制となり
申込量287万kW時点で15.7%発電量が抑制される
申込量317万kW時点で25.8%発電量が抑制される
申込量347万kW時点で32.2%発電量が抑制される
6-2.出力制御見通しの算定結果(合成2σ方式)
○
将来的には実績ベース方式での出力制御を目指すが、出力制御方法、出力制御システムが確立するまでの間に出力制御が必要となった場合には、前日指令に従った制御を行う必要がある。この場合の予測誤差を考慮した運用に基づく出力制御の見通しについては以下のとおり。
※
抑制対象設備の抑制電力量・発電可能電力量を記載
合成2σ方式を採用する場合
30日ルール適用の発電事業者は10.0%発電量が抑制される
360時間ルール適用の発電事業者は15.7%発電量が抑制される
257万kWに達した以降に申込みをした発電事業者は無条件抑制となり
申込量287万kW時点で23.7%発電量が抑制される
申込量317万kW時点で31.5%発電量が抑制される
申込量347万kW時点で36.3%発電量が抑制される
7.中国電力では558万kWまで現行制度での接続契約が可能に!
〈確定した太陽光発電の接続可能量〉
【ベースケース(現行制度)】
中国電力における太陽光発電設備の申込み状況
今なら中国電力の管轄内での設置がお得です!
(参考:オプションケースの太陽光発電の接続可能量)
【制度変更等によるオプションケース】…網掛け(黄色)部分が現行制度からの変更箇所
※1…
本年12月末時点で接続未承諾の設備が対象。ただし,あくまで試算にあたっての前提条件であり,来年1月から実際に適用するというものではない。
※2…
事業者側に太陽光1kWあたり5kWhを設置した場合。蓄電池総容量は2,135万kWh。
※3…
連系線により,他地域へ一定量(20万kW)を送電した場合。
8.おわりに
○
今回の出力制御見通しの算定は、一定の前提条件のもとでのシミュレーションであるが、実運用では需要や再エネ出力等に予測誤差があるため、シミュレーションどおりの結果とならない可能性があることについて、ご理解いただきたい。
○
今後、予測誤差の改善について、国レベルでの取り組みにも期待するとともに、実運用での知見や経験等を蓄積し、より最適な出力制御を目指していきたい。
○
また、出力制御システムなどの技術面やバンキング・ボローイングなどの制度面等の情勢変化、さらには実運用で課題が生じた場合などにおいては、適宜、運用方法の見直しについても検討していきたい。